かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~「白銀御行」の魅力
「かぐや様は告らせたい」における主人公である、会長こと生徒会長の「白銀御行」です。
会長は秀知院学院高等部という偏差値77の超エリート校でも中等部からの内部進学組ではなく、家庭の事情で高等部からの中途入学の「混院」です。また、歴代に「混院」の生徒会長は3人しかおらず、その1人です。
・本人は目つきの悪さを気にしている。勉強においては全国模試もトップクラスであるが、天賦の天才では無く、努力中毒。善良であり、人の相談や頼み事を断ることも無く、誠心誠意向き合う。困っている人間も放っておけないという優しさを持っている。
個人的には「かぐや様は告らせたい」の中では一番好きなキャラクターです。
この作品がラブコメで、男主人公でありながらも嫌味がないです。
どうしても、ラブコメの主人公と言うとハーレムな状況だったり、心揺らされながら最初に好きになった人とは別の子とくっついたり、異常なまでにラッキースケベに遭遇したりという印象ですが、この白銀御行というキャラクターにはそんな気質は無いです。
主人公としても硬すぎず、かといって崩しすぎている訳では無い感じ。
一番の魅力は自分が好きになった人(四宮かぐや)の為に、自分を徹底的に磨き上げるところです。
そんな、感情移入してしまうようなキャラクター性を持っています。秀知院という超エリート校という環境でもどこにでもいるような高校生感がある。何でもできてしまうと共感できないけど、抜けている一面もあって、その辺りのバランスが絶妙に描かれている印象です。
・白銀御行が会長になるまで
・取り巻く登場人物との関係性「藤原千花」「石上優」「伊井野ミコ」「早坂愛」「四宮かぐや」
・竹取物語のポディション
・白銀御行が会長になるまで
1巻から読んでいくと会長は「四宮かぐや」を好きでありながらも、告らせたいと思っている。生徒会活動をしており、白銀御行は会長、四宮かぐやは副会長というところから進んでいきます。
実は入学して間もない頃、秀知院学院に入学して混院であることから周りに馴染めず、やさぐれている時に前生徒会長に声を掛けられます。(白銀が日陰で1人で半額の焼きそばパンを食べているところ)その後、生徒会活動の一環として仕事を手伝うことになります。そこで起きた出来事を発端に生徒会長を目指すことになります。
そこから特に勉学を励むようになり、生徒会長まで昇りつめました。この後に白銀御行が主人公となり、「かぐや様は告らせたい」の物語が始まっていくことになります。
・取り巻く登場人物との関係性「藤原千花」「石上優」「伊井野ミコ」「早坂愛」「四宮かぐや」
「藤原千花」
・生徒会書記で本作のヒロインでゆるふわ巨乳。政治家一族の娘であり、曾祖父はが元総理大臣で、叔父が現職の省大臣となかなかの血統の持ち主。本人は天才ピアニスト。
作中序盤から白銀御行と四宮かぐやと一緒に生徒会活動をしており、誰とでも仲良くなれるコミュ強です。面白いことを探すのが好きで、会長のポンコツな一面も知っている数少ない(?)キャラクターです。会長の運動音痴、音痴な部分を持ち前の面倒見の良さでスキル面でのサポートが多く、時には母のようなポディションであったりもします(笑)
生徒会内ではジョーカーみたいな存在のため、よくかき乱してます。特にコミカル成分が多めな関係だと思います。
「石上優」
・生徒会会計で本作の裏主人公。高卒で苦労した父親の見栄で秀知院学院に入れられる。学習意欲が低く、基本的に自分の興味が有る事にしか全力を出せない。特筆すべきは、その観察力である。彼は人の服装を見るのと同じレベルで、他人の触れられたくない核心、「地雷」が見えてしまう。問題は彼が時折「地雷」だと気づかず触れてしまう点にある。
不登校児だった彼を白銀が引っ張り出した流れで高等部進学間もなく、会計にスカウトされる。学年は違えど、不登校時期を乗り越え、会長が直々に生徒会を選出したこともあり、絆はとても深いと思います。生徒会内では同性の先輩後輩で好きな漫画の話をしたり、一緒にゲームをしたり、信頼しあっている感じがよくわかります。男子高校生同士の日常っぽいやり取りもほのぼのします。
この2人の関係性が最も深掘りされるのはやはり体育祭かと思います。彼も裏主人公というポディションということもあり、成長物語も見物です。
「伊井野ミコ」
・生徒会会計監査 裏ヒロイン 高等裁判所裁判官の父と国際人道支援団体員の母を持つが両者とも多忙を極め、家政婦と過ごした時間の方が長い。孤独心から両親との繋がりを「正義」の中に見出し、以降正しさに固執する。だが、それは「正義の為の正義」であり、それは「幼い」と言って差し支えない未熟なものである。努力家であるものの、視野が狭く猪突猛進。ダーティーな振る舞いが出来ず、正しさは必ず認められると妄信している。夢見がちな理想主義者。体と同様に発展途上のお子ちゃまである。一方で、物事を真っすぐ見る事が出来るのは彼女の長所。噂や風潮に流されず、自分の頭で考え判断を下す。ただし、それに大いなる誤解が混じるのも、彼女の未完成さを象徴する。
68期生徒会選挙で対峙します。バカ真面目で融通が効かない伊井野に対して演説しやすいように直接討論し白熱した接戦になります。その後、白銀が再選を果たした後、伊井野を会計監査に勧誘します。会長の誰にでも優しいというのがよくわかるエピソードです。その後はタイミングが悪く、ケダモノのように誤解されている状況が続きます。真面目ちゃんの彼女ですが、物語が進むにつれ、その心の闇の一面を押し出される対比されてるのが多く、反応に困る会長が見られます。
「早坂愛」
・四宮家かぐや付き近侍 元は名家の早坂家ではあるが、四宮家との競争に敗北。その優秀な血筋を見込まれ、四宮家に取り込まれる。状況に応じて複数の性格を切り替えており、メイドモードとギャルモードはその代表格である。フラットな彼女を知るものは少なく、それはかぐや曰く「臆病者で泣き虫」との事。かぐやとは主従関係ではあるものの事実上、深い縁で結びついた姉妹のようなものである。
早坂愛というキャラクターも四宮家に仕えるメイドであり、かぐや様を守るため、いろんなキャラクターを演じています。言わばいくつもの顔を持っており、多面性を持つキャラクターです。
初めての対峙はかぐや様が体調を崩した時にお見舞いに行った時にスミシー・A・ハーサカとして出迎えます。お見舞いで四宮邸に来てビビッて帰りそうな会長に「ここまで来てビビるなよ…」とボソッと吐きます。(笑)
2度目に接する際にはかぐや様が会長を落としてみろという命令のもと偶然を装って、試しに付き合わない?と打診しますが会長は「好きな人がいるから…」と一蹴します。
早坂も四宮家でかぐや様の面倒を見ているのもあってか、情報を得るためにいろいろな姿へ変装したり、さまざまな顔で接しているため本当の姿を見せずに接しています。四宮家で仕える早坂愛と四宮に好かれるためにボロを出さないようにしている白銀はどこかしら似た箇所があり、2人が関わるシーンに関しては心理の深いところを描写したシーンが多く、深みが感じられてすごく良いです。
「四宮かぐや」
・生徒会副会長で本作のもう1人の主人公
四大財閥の一つ、四宮グループの令嬢であり、やらさればなんでもかなりのレベルでこなしてしまう万能型の天才。四宮家の厳格な帝王学を叩き込まれており、そのせいか、はたまた生まれ持ったものかは不明であるが、ナチュラルに人を見下し、利用することを真っ先に考える。完全無菌の箱入り娘であり、よくわからない所で世間知らずが発動する。
会長とかぐや様との恋愛模様がこの物語の核になる部分なので、行く末がどうなるかというところです。お互いが好きあっている中で、告白出来ないまま進んでいきます。しかし、生徒会初期は白銀とも良好な関係では無く、ギスギスしていました。そんなある日、日々の生徒会活動中に白銀からのある挑戦(?)を受けて良い意味で意識するようになります。秀知院学院でのイベントで徐々に白銀との距離感も近づき、それと同時に彼女の内に秘めた葛藤も描かれており、結末はどうなるのかとワクワクさせてくれます。
・竹取物語のポディション
大納言大友御行(白銀御行)→龍の首の珠(龍珠桃?)
大納言大友御行であり、かぐや姫から「龍の首の珠」を取ってくるように命じられ、家臣を動員して龍退治に向かわせます。ただ、2年経っても誰も戻って来なかったことから、自ら龍退治に向かいます。難波の港へ向かい、家臣を2人引き連れ出航します。しかし、船旅は風も強く、高波に煽られ、雷も轟くようなコンディションで船乗りにも「落雷してしまう、龍退治など考える怪しい人間を乗せてしまったせいだ。」「龍神様の怒りを鎮めるためにお祈りくださいませ。」と泣きつかれてしまいます。大納言大友御行もさすがに参ってしまい、「御神体の毛一本もお触りしませぬ。どうぞ、お許し下さいませ。」と言い、明石の港にたどり着きます。その後、体調も崩し、目もすもものように腫れあがり、役人に担がれ家に帰ってくることになります。その後、かぐや姫は大盗人で自分を殺そうと企てたに違いないと考え、かぐや姫に二度と近づかないようになります。
みんなに業務をお願いし、それでも肝心なところは自分でする。といったところは会長と似ています。
竹取物語の中では珍しく自分からかぐや姫から距離を取る登場人物になります。作者の赤坂アカ先生も帝でもない大納言のポディションの白銀がどこまで進展出来るかとコメントしています。
また、早坂愛とのラップバトルの時に急遽、かぐや様が「二人は!私が!知らぬ間に連絡! 不埒な!騙しは!稲妻の天罰!」とフリースタイルで放ったのは作者の遊び心なのかもしれません。
「かぐや様は告らせたい」の主人公の1人である「白銀御行」についての魅力について書いてみました。
皆様も良ければ、「かぐや様は告らせたい」を手に取って楽しんでみてはいかがでしょうか。